アドリーナは海の底で。

なんでもあり と なんにもいらない は よく似てる

 ほんわかMkⅡ : 両親は、仲が悪いのだと思っていた

ここらでちょっとぶれいく。

696 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/12/24(水) 01:19:12
両親は、仲が悪いのだと思っていた。
冷たく見えるぐらい素っ気なかったから。


両親の兄弟姉妹などから、幼なじみで大恋愛だったとか、周りの反対を押しきって結婚したんだとか聞かされても、到底信じられなかった。



母が子宮癌で手術を受けた。
手術の終わる時刻を見計らって病院へ行くと、父が母のベッドの傍に座り、好きな歴史小説を読んでいた。
麻酔から覚醒したのか、母が痛い痛いと呻きだした。
父は即座に小説を閉じ、母の右手を両手で包み込んだ。
『ユミ、大丈夫だよユミ…』
まだ意識が戻りきっていないながらも、父の声に母が反応して答えた。
「タカちゃん…痛いよ…タカちゃん…」


父と母が名前で呼び合うのを聞いたのは、それが初めてで、最後だった。





母の通夜の後、棺の中の母の頬を何度も何度も父は撫でていた。
黙って撫でていた。

シニカルなコメントを書きかけたが……やめておこう。