アドリーナは海の底で。

なんでもあり と なんにもいらない は よく似てる

 酔っぱらい。

建設中の地下道の壁にはすでに落書きがひとつ。 煌々と灯る電灯と無機質な白い壁。 鳴り響く靴音。 辺りは田圃があるだけの、社会から遠い隔離空間。 
声を出してみたくなった。 「あー……」
ものすごいエコー。 カラオケではこうはならない。 エコーに負けまいと、おっかなびっくり声を張る。 調子が出てきた。 携帯の歌詞メモを見ながら一曲歌ってみる。
赤いペインティングの前に立ち、白いライトに照らされ、響き渡る声はまるでコンサート。
ふぅ……でもエゴラッピンはムズイ。 帰るか。
たった2缶で酔いすぎた。 段差に手をついて飛び降りたついでに指を捻挫。



なんと痛い土産。