アドリーナは海の底で。

なんでもあり と なんにもいらない は よく似てる

 なんかさー 子どもの頃にさ

こういう、何か大きなものと戦う夢って良く見るよね。
んで、みんな自分と同じかそれ以下の子どもしかいないのさ。


昔見た夢はこんな感じだったよ。







目が覚めると自分は泥まみれで倒れていて、冷たい雨に打たれてた。
ここはどこだ? 幼馴染はどこに行ったんだろう?
空は暗くどんよりしてて、黒い雨がずっと降ってる。
草木は長雨に打たれて黒く腐っていて、世界は荒廃してすでに数十年がたっていた。食べ物も飲める水もそれほどない。
ボロボロな体に鞭打ってなんとかたどり着いた廃屋で身を潜めていると、先に住み着いてた奴らに見つかった。
銃を向けられてとっさに諸手を挙げたが…「よそ者だ」と警戒された。
でも他に行くところもない。
しばらく潜伏するつもりで、相手に自分には敵意がない事、行く当てがない事を丁寧に説明した。


この世界では、時々大きな鳥が襲来する。
人類の武器は大したものはないが、ライフルやマシンガンなら何故かたくさんある。

自分も武器を取り一緒に戦うようになって、きちんと時間をかけて信頼関係築いて、数ヶ月も経つとやっと苦しい生活の中でもホッとできる時間が持てるようになった。
仲間だと認められ、和やかな時間を過ごせるようになっていた。
ふと廃屋の外を見ると、白痴(知的障害?)が黒い雨の中泥まみれでうずくまり、地面に向かって独り言をつぶやいている。
この場所には少なくとも、どう考えても身体能力の劣るこいつがチーム内にいられるだけの余裕があった。
正直みんなが生きていくのもぎりぎりの状態のはずだ。普通に考えたらコイツをチームに置いておくのは無理だ。
でもなんとかやってる。
それはみんなが、今の状態が如何に危ういバランスで保たれているか、ちゃんとわかってるからだ。
良いチームだよ。将来への不安とか、問題はあるけど何とかうまくやってる。
なけなしの食料に、少しの水源。なけなしの規律もある。


向こうでみんなが火を囲んでいる。
誰かがギターを鳴らせば、誰かがふざけてダンスを始める。
軽く上がる野次に笑い声。
温かい笑いだった。
…ここでならやっていけるって思った。良いチームだったよ。




そしたらばったり幼馴染と再会すんの。
生きてたんだ…!って駆け寄ろうとしたら
そしたらそいつ、敵対組織の制服着てんの。
一目でわかる二列の飾りボタン。
あいつも、こっちの制服見て硬直してんの。
一目でわかる一列の飾りボタン。


自分が敵対組織と通じてるなんて仲間に知れたら、今まで培ってきた信頼が全部無駄になる。
せっかく良いチームなのに。



なんかさー…、やっと会えた幼馴染を目の前にしてさ。
懐かしさも思い出も、お互いを思う気持ちも何にも変わってないのにさ。
立場だけ変わっちゃって。


あと1mなのに、近づけやしない。
こんな、たかがボタンの一列や二列。たったそれだけの事なのに。
1年前だったら、何も考えずに再会を喜び合えたのかな。







再会はそれだけだった。
何の言葉もないまま分かれた。
むなしいね。って思いながら、
真っ黒な空を見上げて、いつかはこの雨も止むさ、なんて
根拠のない諦めみたいな希望を言った。





向こうで白痴が、地面に向かって独り言をつぶやいている。
その地面に、銀色の希望が埋まってるのが見えた。


…こいつは知ってたのかなあ。
他の奴じゃ見つけられない何かを見つけられたのかなあ。。。









そんなモラトリアムな夢。まあ、かなり昔の話なんだけど。
……はぁ〜あ(´・ω・`)〜3 チョット印象的ダッタナ